2月中旬、西インド、ムンバイから入国。娘の卒業旅行を兼ねていたため、宗教色が緩く、カルチャーショックが少ないと思われるエリアを巡ることにしました。
昨今のインドは、ITの普及と共に非常に旅がしやすい環境が整ってきています。初めて訪れた30年以上前のインドとは雲泥の差です。
そんな緩さを昨年の久しぶりのインドで感じ取り、今回は娘付きとなりました。
卒業旅行という名目もあり、メインに訪れたのは世界遺産であるアジャンタ、エローラ岩窟寺院群です。アジャンタ石窟群は、古代インド信仰の中心として、僧侶が岩窟内でマントラ、瞑想などの修行に勤しんだ地です。
実際に訪れてみると、そこはただの観光地ではなく、玄武岩で覆われた岩窟内は、言葉では言い尽くせぬほどの強力なパワーを感じました。
肉体から抜けた僧侶たちが今でもそこで修行を続けているような、鳥肌の立つエネルギーです。
観光客というよりも参拝者といった、いでたちの方も多く、彼らは手を合わせ祈り、時にはマントラを唱える姿も見かけました。唱えるマントラは地底から天井高くまで低音で窟内に響き渡ります。居合わせた方が一緒にマントラを唱えると倍音になり荘厳な響きに変わります。
私も一緒に詠唱に参加すると窟内のみならず脳内、身体中に染み入り響き渡る感覚があり、そのまま意識が引きずり上げられるような錯覚に陥り、慌てて意識を岩に戻し呼吸を深めました。頭では分かってはいたものの、肉体というものは一瞬の借り物にすぎないんだという体験でした。
そのまま深い瞑想に入れば、時間という概念を超えた次元へと導かれていくのでしょう。
今ある肉体は自分の魂のような存在に経験を与え、今生きている自分という在り方を鏡のように映し出している。与えられた身体は有限であるからこそ、大切に扱い、慈しんでいく必要がある。そんな想いが身体の内側から突き上がってくるのを感じました。
そしてアジャンタよりも南西へ100キロほど離れた所に位置するエローラ遺跡。遺跡のひとつである、カイラーサナータ寺院にはヨーガの教えを解く代表的な古典、「ラーマーヤナ」「マハーバラタ」などで描かれるヨガの神々が外壁の至るところに彫られていました。この石窟寺院そのものが宇宙の全てと同じであるということを象徴しているのです。
普段ヨガクラスを教える立場ではあるものの、身体を動かすヨガクラスは、ヨガの教えのほんのひと握りの一部分にしか過ぎないということを改めて感じました。
私にとっては一瞬ともいえる今回のインド滞在は、短いながらも濃縮された体験を得ることが出来ました。幸い娘も混沌としたインドの世界を終始ポジティブに歩き回ることが出来たようで、非常に頼もしかったです。
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3F ヨガスタジオSerenita
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